セッション13報告
重力場とジオイド決定のためのGPSの利用


 セッション13(GPS for gravity field and geoid deermination)では,GPS・水準による精密ジオイドの決定とGPSをナビゲーションに用いた移動体上での重力測定の話題を中心に,計11編の研究発表が行われた。

 このうち,GPS・水準測量によるジオイド決定については,招待講演としてUSAのSmithがアメリカの新しいジオイドGEOID99とそれを基準とした正標高の決定に関する講演を行った。 また,ドイツのDenker(追加講演)はヨーロッパの精密ジオイドについて報告を行っ たが,それによると,各水準点でのGPS測量にも2日以上の時間をかけるなど,細心の注意を払うことで,部分的にせよ1cmを越えmmのオーダーの精度でのジオイド高が得られつつあるとのことであった。

 陸上でのジオイドの決定は高さの決定と密接に関連しており,アメリカの高さが正標高を採用しているのに対して,ドイツでは正規高を採用するとのことであった。また,興味深いのは,正規高を採用する理由の一つとして,以前に採用されていた正規正標高からの数値としての高さの変化が少ないという,極めて実際的な理由もあるとのことである。 この他、Monicoら(M.Stewartが代読)がGPS水準とジオイド高を組み合わせ正標高を求める方法についてブラジルでの例を紹介し,Kuroishiらは日本での新しい測地成果への改定に伴うジオイドの位置づけと日本の新しいジオイドについて,Hanは韓国のChoogaryeong rift valleyを中心に韓国におけるGPSを利用したジオイドについて,また,TanakaはGPS観測による楕円体高の時間的変化の検出についての理論的な研究について,それぞれ報告を行った。

 一方,移動体上での重力測定に関しては,船上,航空機,ヘリコプター,衛星とそれぞれ違うプラットホーム上での話題が1件ずつ4件報告された。 まず,Segawa他(発表者Satomura)は船上の重力測定に関して,GPSによる位置決定を採用することでエトベス補正の精度が大幅に向上することを示し,また,Forsbergらは,固定翼による航空重力測定とそれによる重力データを用いることで極域やなど従来のデータの空白域でのジオイド決定について報告した。 一方,Segawa他は,固定翼ではなくヘリコプター搭載型の航空重力測定のテスト結果について報告し,今後の可能性を示唆した。 さらに,Chaoらは,H-L SSTによる大気や電離層のサウンディングを主目的としたCOSMIC衛星計画によって,加速時計を搭載せずエアードラッグの影響を受けるCOSMIC計画によっても,適当な衛星のペアーを使うことで,その副産物として重力場の測定が可能であることを報告した。

 以上,このセッションでは,発表数こそやや少なかったものの,GPSと重力場測定,ジオイド決定に関連した現在もっともホットな話題が,ほぼ,すべて網羅された形であり,大変充実したセッションであったと言えよう。

福田洋一


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